外壁アクセス&メンテナンスのエキスパート日本ビソー

PROJECT STORYプロジェクトストーリー

本設ゴンドラ

想定を超える高さに挑んだ男たち

高さ634mを誇る東京スカイツリー。
このスカイツリーの展望台である
東京スカイツリー天望デッキの
窓拭き用ゴンドラの計画から
設置完了までのプロジェクトに
挑んだ男たちの物語を紹介します。

Episode1

2000年に一度の猛烈台風(!)を
想定した設計基準

本設ゴンドラ事業本部 本設ゴンドラ東京支店 営業
1993年入社

東京スカイツリーはいくつかの候補地から最終的に押上に決まりました。当時私は他の候補地プロジェクトにも携わっていましたが、どのタワー計画もメンテナンスの難しい形状をしていましたね。建設地が決まったときは、ほっとした気持ちと本格的なチャレンジが始まる緊張感が入り混じる思いでした。東京スカイツリーは世界最高峰の高さで、当然そんな高さの実績はありません。通常の高層ビルでは100~150年に一度発生する可能性のある台風などに対応した設計基準ですが、今回は「2000年に一度」の猛烈な台風を想定したものでした。ちなみに2011年の東日本大震災でも、この基準をクリアしたおかげか全くの無傷。
この空前の設計条件や取り組みに対し、工事を円滑にすすめるための検討・製造期間や施工方法などを調整し、かつコストのバランスを考えるのが私の仕事でした。

ゴンドラは人の命にかかわるので失敗が許されません。その結果、標準的な機械を無難に売るという守りの姿勢に入りがち。でも、東京スカイツリーという、注目度が大きい案件に様々なアイデアでチャレンジし、不安やプレッシャーと闘いながら、チーム一丸となって完成度の高いゴンドラを納めることができました。
こういう時代だからこそ、大きな目標に向かって果敢に「攻め」ていく――。今後ますます社会は変容するでしょう。でも、この姿勢がサバイブできる企業の付加価値だと改めて思いました。

Episode2

高度300m、強風との闘いを乗り越えた

本設ゴンドラ事業本部 本設ゴンドラ東京支店 設計
1997年入社

ゴンドラそのものはシンプルな案件だったのですが、高度300mを超える展望台に設置するので、地震や風に対してかなり厳しい設計スペックを求められました。もちろん強風時にゴンドラは使いませんが、万一の場合でも飛んでいかないように、かつ動かないようにしなくてはならないので、通常とはかなり異なる条件や要望がありましたね。また、ゴンドラが設置される展望台は円錐をひっくり返したような特殊の形状なので、そこに沿ってきちんとゴンドラが降りていくのか?といった懸念も…。当時の上司が斜めにゴンドラを下ろしていく案件を担当したことがあったので、図面を見せてもらったりアドバイスをもらえたのが大きな助けになりました。

ただ、納めてからテスト走行までの間、とても不安だったのを覚えています。特にトラブルもなく終えることができ、自分にとって満足のいく結果を得られたことに喜びを感じました。その後「スカイツリーに設置したんだって?あそこはどうだった?」と、ほかの現場で聞かれることがあり、周囲のスタッフとのコミュニケーションの活性化につながりました。この経験が次のプロジェクトにも生かされて、自分の言うことややることに大きな説得力が生まれました!

Episode3

雲が流れてくる中で作業したことも!

本設ゴンドラ事業本部 本設ゴンドラ東京支店 施工管理
1992年入社

東京スカイツリーでの設置業務は、やはり特殊でした。通常のビルのゴンドラであれば、ゴンドラを走行させるレールを1本ずつ建物にセットしてその後微調整するのが一般的ですが、この時は違いました。時間短縮と安全性を考えて、レールを工場である程度組んでから設置場所に揚重(引き上げ)し、その後にミリ単位で調整。また通常の走行用レール2本に加え、倒れ防止のために上部に3本目のレールを設置しました(※左写真参照)。レールを取り付けるための走行足場を組んでもらい1本ずつチェーンブロックで持ち上げながら1周設置したのです。

この3本目のレールはほかの低層ビルでも取り付けたことがありますが、東京スカイツリーは作業スペースがとても狭く、1本1本がとても重い。それに高さもあるし風が強いという悪条件のもとでやらなくてはなりません。
あまりに高いので、作業中に雲が流れてきたことも(笑)。ゼネコンさんも初めての経験だったようで、打ち合わせの回数がとても多く、問題が起きたら新たに対策を打つ、ということの繰り返し。レールやゴンドラ本体を設置し終えた時は「ああ、やっと終わった」という安堵感でいっぱいでした。何よりうれしかったのは、ほかの人がやっていないことを完成させたので、自分の中で確固たる自信がついたこと。ベテランといわれる年齢になりましたが、何歳になっても進化していきたいと思います。